建売住宅のハザードマップの見方|水害・土砂リスクの確認方法と購入判断

「気になる建売住宅があるけど、水害リスクが心配で…」「ハザードマップの見方がよくわからない」という声はよく聞きます。

近年、大雨による洪水・土砂災害が各地で発生しており、住まいの水害リスクへの関心は高まっています。建売住宅の購入を検討する際、立地のリスクを正確に把握しておくことは非常に重要です。

この記事では、ハザードマップの種類・国土交通省のポータルサイトの使い方・色区分の意味・ハザードマップ内物件の購入判断基準・水災保険への影響・購入する場合の対策まで、建売購入検討者向けに解説します。

この記事でわかること

  • ハザードマップの種類(洪水・土砂・津波・高潮)と見方
  • 国土交通省のハザードマップポータルサイトの使い方
  • 色区分(浸水深)の意味と判断基準
  • ハザードマップ内の物件を買ってよいかの判断基準
  • 水災保険料への影響
  • 購入する場合の対策
  • 重要事項説明書での告知義務

目次

ハザードマップとは

ハザードマップとは、自然災害(洪水・土砂崩れ・津波など)が発生した場合にどのエリアが被害を受けるかを示した地図です。国土交通省や各自治体が公開しており、誰でも無料で確認できます。

建売住宅を購入する前にハザードマップを確認することは、リスクを把握して購入判断をするうえで欠かせないステップです。


ハザードマップの種類

主なハザードマップには次の4種類があります。

1. 洪水ハザードマップ

河川が氾濫した場合に、どのエリアがどの程度の深さまで浸水するかを示したマップです。

想定最大規模(1000年に一度レベル)計画規模(100〜200年に一度レベル)の2種類が公開されています。都市部では複数の河川の氾濫を想定しているため、複数のマップを確認する必要があります。

2. 土砂災害ハザードマップ

土砂崩れ・地すべり・土石流が発生した場合の危険エリアを示したマップです。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の2段階があります。山沿い・丘陵地・崖付近の物件では特に確認が重要です。

3. 津波ハザードマップ

海沿いのエリアで津波が発生した場合の浸水想定を示したマップです。海岸線から離れているエリアでは関係ありませんが、沿岸部や河川をさかのぼる津波の影響を受けるエリアでは確認が必要です。

4. 高潮ハザードマップ

台風・低気圧により海面が上昇する「高潮」が発生した場合の浸水想定を示したマップです。東京湾・大阪湾など湾岸エリアでは特に重要です。


国土交通省のハザードマップポータルサイトの使い方

国土交通省が運営する「重ねるハザードマップ」(ハザードマップポータルサイト)では、複数のハザードマップを1つの地図上で重ねて確認できます。

URL重ねるハザードマップ

使い方の手順

  1. サイトにアクセスし「重ねるハザードマップ」を選択
  2. 住所検索またはマップ操作で確認したいエリアに移動
  3. 左側の「表示情報」から確認したいハザード種別を選択(洪水・土砂・津波など)
  4. 地図上の色区分でリスクを確認

自治体のハザードマップも確認する

重ねるハザードマップに加え、各市区町村が独自に発行しているハザードマップ(地域防災マップ)も確認することをお勧めします。自治体のマップでは避難場所・避難経路・地域の浸水実績なども記載されています。

市区町村の窓口または公式ウェブサイトで閲覧・配布されています。


色区分(浸水深)の見方

洪水ハザードマップでは、浸水の深さによって色分けされています。代表的な色区分の目安は次の通りです。

浸水深色区分の目安状況のイメージ
0〜0.5m未満薄い水色・黄色床下浸水の可能性
0.5〜1.0m未満水色床上浸水(膝あたりまで)
1.0〜2.0m未満1階がほぼ水没
2.0〜5.0m未満濃い青2階まで浸水する可能性
5.0m以上紫・赤3階以上まで浸水するリスク

※色区分は自治体・ハザードマップの種類によって異なります。凡例を必ず確認してください。

浸水継続時間も重要な指標です。浸水深が浅くても、数日間浸水が続くエリアは被害が大きくなります。自治体のマップに継続時間の情報がある場合は合わせて確認しましょう。


ハザードマップ内の物件を買っていいか判断基準

ハザードマップに色がついているエリアにある物件を、買ってはいけないわけではありません。都市部では広い範囲がハザードマップの対象になっており、リスクゼロの立地を探すことが難しい場合もあります。

判断のポイントは次の通りです。

判断軸①:浸水深と1階床高の関係

建物の1階床面の高さ(GL+基礎高)と浸水深を比較します。想定浸水深が0.5m未満かつ建物の基礎が高く設計されている場合、床上浸水リスクは低くなります。

判断軸②:土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は避ける

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、土砂が流れ込んだ場合に建物が壊れるほどの力がかかるエリアです。このエリアへの住宅建築は規制されており、建売住宅が販売されている場合でも購入判断は特に慎重に行うべきです。

一方、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は規制は弱いですが、避難指示が出るエリアのため、避難計画は必須です。

判断軸③:実際の浸水実績を確認する

過去に浸水被害があったかどうかも重要な判断材料です。自治体の浸水実績マップや、近隣住民への聞き込みで確認できることもあります。

判断軸④:避難経路と避難場所の確認

ハザードマップエリアにある物件を購入する場合は、避難場所・避難経路・浸水時の脱出経路をあらかじめ把握しておくことが大切です。

判断軸⑤:住宅ローンの担保評価がとれるかどうか

土砂災害警戒区域のレッドゾーンに該当する銀行によっては、担保評価が取れず住宅ローン利用ができないことがあります。

ただし、洪水ハザードに関しては、住宅ローン利用が難しくなるケースは極めて稀なため、そこまで心配する必要はありません。


水災保険料への影響

2022年以降、損害保険各社は水災リスクが高いエリアの火災保険(水災補償)の保険料を値上げしています。ハザードマップで高リスクとされるエリアでは、保険料が大幅に高くなる場合があります。

主要なポイント

  • 洪水・土砂・高潮のリスクに応じて5つの「水害リスク区分」に分類されている(損保各社の基準による)
  • リスクが高いエリアでは水災補償の保険料が通常の2〜4倍程度になるケースがある
  • 水災補償を外すと保険料は安くなるが、万が一の補償がなくなる

建売住宅の購入諸費用を計算する際は、火災保険料もハザードマップ上の立地に応じて見積もっておくことが大切です。諸費用の全体像は建売住宅の購入諸費用総額で確認できます。


購入する場合の対策

リスクエリアの物件でも、対策を講じることで被害を軽減できます。

物件選択時の対策

住まい方の対策

  • 水防グッズの準備:止水板・土のう・防水テープ・給水袋など
  • 浸水前の貴重品移動:1階の重要な書類・家電は高い場所へ移動できる体制を整える
  • ハザードマップを家族で共有:避難場所・ルート・連絡方法を事前に決めておく

保険の対策

  • 火災保険には水災補償を付ける(ハザードマップ高リスクエリアは特に重要)
  • 保険料の見積もりを複数社で比較する

高低差のある土地

高低差のある土地を購入すれば、浸水被害にあう確率は減るでしょう。しかし、高低差がある物件は他の懸念もありそれを許容できるかどうかも大切な要素です。例えば、擁壁の築年数や、戸建てまで階段を利用しなければならない等です。


重要事項説明書での告知義務

建売住宅の売買契約前に行われる重要事項説明では、土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域・津波災害警戒区域に指定されているかどうかは告知義務があります。

しかし、洪水ハザードマップについては2020年8月以降に告知義務が追加されており、物件が洪水浸水想定区域内にある場合は、浸水深・浸水継続時間を説明することが義務付けられています。

重要事項説明を受ける際は、ハザードマップに関する説明を必ず確認しましょう。説明がない場合は担当者に質問してください。

信頼できる担当者からの説明を受けたい場合は、建売住宅の仲介手数料が無料になる仕組みと会社の選び方で紹介している仲介会社を参考にしてください。


よくある疑問Q&A

Q. 建売住宅の購入前に必ずハザードマップを確認しなければいけませんか?

A. 法律上の義務ではありませんが、自分の身と資産を守るために確認することを強くお勧めします。不動産会社からの重要事項説明で一部は告知されますが、すべてのリスクが網羅されているわけではありません。購入前に自分でもポータルサイトで確認しましょう。

Q. ハザードマップ外のエリアなら水害リスクはゼロですか?

A. 必ずしもゼロではありません。ハザードマップは「大規模な想定被害」を示すものであり、ゲリラ豪雨による局地的な浸水などは必ずしも反映されていない場合があります。また、都市部では地下浸水(内水氾濫)のリスクもあります。

Q. 旗竿地や角地はハザードマップとの関係で注意が必要ですか?

A. 立地条件(旗竿地・角地)とハザードマップは直接の関係はありませんが、旗竿地は避難経路が限られる点が水害時に問題になることがあります。建売住宅で旗竿地は買ってもいい?も参考にしてください。

Q. 分譲住宅(複数棟)のハザードマップリスクはどう見ればよいですか?

A. 同じ分譲地の中でも、棟によって微妙に地盤の高さが異なることがあります。ハザードマップで一帯を確認したうえで、区画ごとの地盤高も確認できると理想的です。建売住宅の棟選びで後悔しない方法も参考にしてください。

Q. 水害リスクが高いエリアの建売住宅は資産価値が下がりますか?

A. 水害リスクが高いエリアの物件は、将来的な資産価値・売却時の評価に影響する可能性があります。購入後に売却を検討する場合のリスクも含めて判断することが重要です。


まとめ|ハザードマップ確認は建売住宅選びの必須ステップ

  • ハザードマップには洪水・土砂・津波・高潮の4種類があり、種類によって確認すべき色区分が異なる
  • 国土交通省「重ねるハザードマップ」で複数リスクを一度に確認できる
  • 浸水深の色区分は0.5m未満(床下)〜5m以上(3階まで)の範囲で判断する
  • 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は建物被害リスクが高く、特に慎重な判断が必要
  • 水害リスクエリアでは火災保険の水災補償料が高くなる可能性がある
  • 重要事項説明でのハザードマップ告知内容を確認し、不明点は担当者に質問する

建売住宅を選ぶ際は、物件の価格・間取り・設備だけでなく、立地のリスクも重要な評価軸です。ハザードマップ確認を内見チェックリストの一部として組み込んでおくと、見落としを防げます。

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この記事を書いた人

不動産を愛しています。売買不動産歴10年以上、法人営業、個人営業を経験。売却査定数は5000件以上、内見数は1000件以上、取引数は500件以上、リノベーション件数300件、顧客満足な案件も、訴訟レベルのトラブル案件も経験してきました。不動産購入を検討している人やリノベーションを検討している人、不動産関係者に有益な情報を提供していきます。

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